【Hot Topics】空き屋問題と庭の維持管理
- H.Nakamura
- 4月4日
- 読了時間: 5分
今回は、日本の空き家問題について学びたいと思います。
私たちがurTREEサービスをスタートしたきっかけにもなった人口減少と高齢化と密接に関係する日本の大きな課題テーマであると考えています。

日本の空き家率
総務省の「住宅・土地統計調査」によると、2023年時点で全国の空き家数は約899万5,200戸、空き家率は13.8%に達し、過去最高となりました。 1993年からの30年間で空き家数はおよそ2倍に増加しています。
また、野村総合研究所の予測によれば、2035年の空き家率は18.3%に達するとされています。
都道府県別の空き家率
都道府県別の空き家率が高い順は以下の通りです。
徳島県:21.2%
和歌山県:21.2%
山梨県:20.5%
鹿児島県:20.4%
高知県:20.3%
一方、空き家率が低い都道府県は以下の通りです:
沖縄県:9.3%
埼玉県:9.4%
神奈川県:9.8%
東京都:11.0%
愛知県:11.8%
愛知県は全国平均からすると比較的空き家率は低い方ではありますが、それでも現時点で10戸に1戸は空き家という状況であり、今後10年でさらに拡大することが予測できます。
また、一戸建ての空き家の増加が目立っており、深刻化の兆しが見られる状況下にあります。
空き家になることの問題点
空き家が増加すると、以下のような問題が生じます:
安全面のリスク:
老朽化した建物の倒壊や火災の危険性が高まります。
景観や治安の悪化:
放置された空き家は地域の景観を損ない、不法投棄や犯罪の温床となる可能性があります。
経済的損失:
空き家の増加は不動産価値の低下を招き、地域経済に悪影響を及ぼします。
空き家への法規制
日本政府は空き家問題に対処するため、以下のような法規制や施策を検討・実施しています:
解体費用の積立義務化:
新築時に将来の解体費用を積み立てる制度の導入が提案されています。
管理義務の強化:
所有者に対し、適切な管理を義務付ける法律の整備が進められています。
税制措置:
空き家を放置した場合の固定資産税の増額や、適切に管理・活用した場合の税優遇措置などが検討されています。
これらの施策により、空き家の適切な管理と活用を促進し、問題の解決を図ることが期待されています。
さて、urTREEならではの視点としては、空き家に伴う『庭』の管理についても問題提起する必要があると考えます。
比較的古い戸建ての家には大体庭があり、それらの家が空き家となると庭の管理もなされず放置されてしまい、数々の問題が発生することが想定できます。

庭が荒れ放題になる問題
雑草や樹木の繁茂:
空き家の庭が放置されると、雑草や木々が伸び放題になり、景観が悪化します。特に竹や樹木が成長しすぎて、近隣の敷地に侵入するケースもあります。
害虫や害獣の発生:
草木が生い茂ると、蚊やネズミ、ハチなどの害虫が繁殖しやすくなります。また、タヌキやイノシシなどが住みつくこともあり、近隣住民にとって衛生面や安全面でのリスクとなります。
倒木や枝の落下による被害
台風や大雪での倒木リスク:
手入れされていない老木や枝が強風や雪の重みに耐えられず、倒れて近隣住宅や道路を損傷することがあります。
樹木管理不備の法的責任:
空き家所有者が適切に管理していないために倒木が発生し、第三者が被害を受けた場合、損害賠償責任が生じる可能性があります。
不法投棄の温床になる
ゴミや不用品の放置:
荒れた庭がある空き家は不法投棄の標的になりやすく、家具や廃棄物が積み重なり、環境汚染や悪臭が問題となります。
防犯面でのリスク:
人目が届かないため、空き巣や不法侵入者が隠れやすくなる環境が整ってしまいます。
景観や地域コミュニティへの影響
街全体のイメージ低下:
荒れた庭のある空き家が増えると、街の景観が損なわれ、住民の満足度が低下します。不動産価値の下落も懸念されます。
地域コミュニティの崩壊:
空き家が増加すると住民が減り、自治活動や防犯活動が維持できなくなる可能性があります。
行政対応と課題
管理不全空き家の指定:
自治体は「特定空き家」として指定し、所有者に管理や改善を求めることができますが、実際には所有者不明や管理放棄されているケースが多く、対応が進んでいない地域もあります。
解体や管理のコスト負担:
老朽化が進んだ空き家や荒れた庭を解体・整備する費用は高額で、所有者の経済的負担が重いため、なかなか解決に至りません。
解決策の一例
自治体支援の強化:
補助金制度や税優遇を利用し、空き家解体や庭整備を支援する取り組みが一部で行われています。
地域の活用モデル:
空き家や庭を地域コミュニティスペースや菜園として活用することで、管理と地域活性化を両立させる方法も注目されています。
空き家とその庭の管理は、所有者個人の問題にとどまらず、地域社会全体で考えるべき課題となっています。
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