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【Hot Topics】世界の造園業界で進むテクノロジー活用と日本への応用

  • 執筆者の写真: H.Nakamura
    H.Nakamura
  • 14 分前
  • 読了時間: 5分

前回コラムで造園業界の課題を考えてみましたが、今回は当社(Coolong Inc.)の専門領域となるテクノロジー活用に関して再検討してみたいと思います。


近年、世界の造園業界は「伝統技術 × 最新テクノロジー」という融合の時代を迎えています。これまで人の経験と勘に頼っていた領域に、AIやロボット、ドローン、IoTといった技術が加わることで、効率化や精度向上が実現しつつあります。


今回は、世界の造園業界で活用されている具体的なテクノロジーと、その事例、そして日本の造園現場への応用可能性についてご紹介します。


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世界で進む造園テクノロジー活用事例



1. ドローンによる測量・設計支援

テクノロジー:UAV(無人航空機)・ドローン測量、3Dモデリングソフト


活用事例:

・アメリカでは大規模公園や都市緑地の設計で、ドローンを使って数時間で現地の地形データを取得。従来の地形測量(数日〜数週間)に比べ、大幅な時間短縮を実現。


・イギリスの庭園管理では、ドローンを活用して樹木の健康状態(葉色や水分ストレス)を空撮データから分析。


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2. ロボット芝刈り機・自動管理システム

テクノロジー:ロボット芝刈り機(GPS搭載)、自動灌水システム


活用事例:

・北欧諸国では、ロボット芝刈り機(例:Husqvarna社製)が一般家庭から公共施設まで普及。自律走行により夜間も静音で稼働し、省人化と美観維持を両立。


・ドバイではIoT制御の自動灌水システムを導入し、砂漠地帯の公園や緑化帯で水使用量を30%以上削減。

【hot-topics】世界の造園業界で進むテクノロジー活用と日本への応用

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3. AIとデータ解析による植栽計画

テクノロジー:AI設計支援、ビッグデータ解析

活用事例:

・シンガポールの都市緑化では、AIが過去の植栽データや気候条件を解析し、最適な樹種を提案。結果として病害虫被害を減少させ、緑化維持コストを削減。


・アメリカのランドスケープ設計事務所では、AIシミュレーションにより「日照の変化」「雨水流路」を予測し、環境に適した植栽配置を自動提案。


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4. VR/ARによるデザイン提案

テクノロジー:VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、BIM(Building Information Modeling)


活用事例:

・ヨーロッパの造園設計では、施主がVRゴーグルを装着し「完成後の庭園」を体験。設計段階でのイメージ共有が容易になり、設計変更コストを大幅削減。


・日本でもARを活用し、タブレットで庭に樹木をバーチャル配置して「将来の成長シミュレーション」を見せる試みが始まっている。


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5. 環境センサーとスマート管理

テクノロジー:IoTセンサー、リモート監視システム


活用事例:

・ドイツの都市公園では、土壌水分センサーを設置し、クラウドで一元管理。必要な場所にだけ散水することで水資源の最適化を実現。


・アメリカ・カリフォルニアでは、樹木ごとにセンサーを設置し、病害虫の兆候や成長度合いをモニタリング。都市の樹木マップを自動更新している。


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日本の造園現場への応用可能性



1. 公共事業へのドローン導入

公園整備や街路樹管理にドローン測量を活用すれば、設計段階の作業時間を大幅に短縮可能。特に山間部や法面の緑化では安全性も向上。


2. 管理コスト削減のための自動化

学校・企業の緑地管理にロボット芝刈り機を導入すれば、人件費と維持費の削減につながる。

IoT灌水は都市のヒートアイランド対策や省エネの観点からも効果大。


3. 地域特性に応じたAI植栽

日本の気候は地域差が大きく、北海道と沖縄では植栽条件がまったく異なる。AI解析を活用し、地域気候に最適な樹種・配置を自動提案できれば、施工後の枯損率を減少できる。


4. 顧客提案力の向上

個人邸宅やマンション緑地の提案でVR/ARを導入すれば、施主が完成イメージを具体的に体験でき、契約率の向上が期待できる。


5. 樹木医業務のDX化

樹木診断にセンサーを活用し、IoTでデータを一元管理すれば、樹木医の判断をサポートし、長期的な維持管理計画に役立つ。




導入時の課題と解決策


課題1:導入コストの高さ

問題点:ドローンやセンサー機器、AIソフトは初期投資が高い。小規模造園業者には負担が大きい。

解決策:自治体や大手ゼネコンと連携し、共同利用モデルを導入。リースやサブスクリプション型のサービスを利用する。


課題2:技術人材の不足

問題点:造園職人は熟練の技能はあるが、ITスキルを持つ人材は少ない。

解決策:専門学校や業界団体が「造園DX研修」を設け、ドローン操作やデータ解析を学ぶ機会を提供する。


課題3:現場との親和性

問題点:現場は屋外で環境が過酷なため、機器が壊れやすい。

解決策:屋外対応の堅牢な機材選定と、予備機材・メンテナンス体制を整える。


課題4:顧客理解の不足

問題点:施主がテクノロジー活用のメリットを理解していない場合、導入コストを正当化しづらい。

解決策:完成予想をARで体験させたり、維持費削減のシミュレーションを提示して「投資効果」を見える化する。



まとめ


造園業は人の感性と技術を基盤にしています。しかし世界では、テクノロジーを積極的に取り入れることで効率化・持続可能性が飛躍的に高まっています。


日本でも「人の手仕事」と「テクノロジー」を両輪で活用することが、これからの造園業の発展に欠かせないでしょう。




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